研究者の書くエッセイあるいはコラム

L'annexe de la Bibliothèque

Nikon F, NIKKOR-H•C Auto 50mm f2, FUJICOLOR SUPERIA X-TRA 400 @Paris

科学者の仕事を真に理解するには、その科学者が書いた論文を読む以外に、方法はない。けれども、その論文は、当然科学者に向けて書かれているから、読み下すにはかなりの知識と経験が必要だ。

それに比べて、科学者の書く読み物(エッセイ/コラム)は、そういった前提がないから、楽しく読めるものが多い。本になっているものもあるけれども、ここに紹介する作品は、全部ネットで読める(以下、敬称略)。

作家別作品リスト:寺田 寅彦

科学者のエッセイをあげるときに、寺田寅彦を外すわけにはいかない。幸運なことに、彼の著作のほとんどは、青空文庫で読める。日常のちょっとした気づきから、どんどんと考えを深めていく様は、読んでいて気持ちが良い。

書庫渉獵

進化の専門家である倉谷滋が書くエッセイは、何度も何度も読み返したくなるくらいの魅力がある。一読しただけでは、その内容を咀嚼できた気がしないのだ。ときに、衒学的とも言えるほどの幻想的、眩惑的表現で、科学の、あるいは古書の、そして自然の魅力を味わえる。

こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?

生命の模様や形の専門家である近藤滋のコラム。回によっては、やや専門的であるが、軽妙洒脱な文体のおかげで、スルスルと読める。科学を全力で楽しんでいることが、コラム全体から伝わってくる。

細胞夜話ならびに生化夜話

GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社の藤元宏和によるコラム。こちらは、基本的に研究者を対象としているので、全く実験の経験がないと、面白さが半減してしまうかもしれない。それでも、ユーモアのある文体と、可愛いイラストに助けられて、対象の堅苦しさに比べると気楽に読める。細胞夜話は、読者登録が必要。

進化研究を覗く

JT生命誌研究館顧問の西川伸一によるコラム。こちらは、教科書といっても良いくらいのハードな内容であるが、一話から順に読んでいけば、進化研究の歴史を追うことができる。じっくりと読み進めたい。

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