Leica IIIa, Summicron f = 5cm 1:2, ILFORD FP4 PLUS
ライカIIIaとの出会いは、劇的だった。
自分のフィルムカメラライフは、ニコンFから始まった。F自体には全く不満がなかったのだけれども、フィルムカメラの宿命として、フィルムを一度装填してしまうと、撮り終わるまで交換できないのが欠点だった。カラーで撮っている時に、明日はモノクロで撮りたいな、という時がある。そんな時の2台目には、レンジファインダーのM型ライカがいいなと、ぼんやり考えていたのだけれども、値段を見て躊躇していた。
そんなある日、恵比寿の小さなギャラリーに、写真を見に行く機会があった。展示されていた写真は全て黒白で、撮影された時代背景と合わせて、なんとも言えないダークな雰囲気を醸し出していた。
写真そのものも素晴らしいけども、どういった機材で撮られたのかも気になります、というようなことを、ギャラリーのスタッフの方と話していたら、そこから歩いてすぐのところにある、クラシックカメラ専門店を紹介してくれた。
親切にも、手書きの地図まで書いていただいたので、お店には迷うことなくたどり着けたのだけれども、本当にここがお店なのかと、入る時に躊躇してしまった。入り口は普通のマンションなのだ。
Foto:Mutori -Seller of Vintage Camera & Lenses-
店内に入ると、クラシックな棚に、光学アンティークが所狭しと並んでいた。35mm版のカメラやレンズには、それなりに詳しくなっていたつもりだったけれども、そこに並んでいるものは、見たことも聞いたこともないカメラやレンズたちだった(ぜひ、上記のウェブサイト並びにFacebookのページを見てもらいたい)。
そんなアンティークカメラに囲まれて、棚の中にポツンと置かれていたのが、ライカIIIaだった。ライカのM型は知っていたけども、このバルナック型というものは、ちょっと見たことがあっただけで、ほとんど知識がなかった。が、見て、触って、ファインダーを覗き、斬新なピント合わせを試し、その重厚な作りと、お店で見せてもらった作例で、一気にファンになってしまい、3日間、きちんと悩んで購入した。
店主の方が言うには、なんとこのライカIIIaはパリで仕入れてきたものらしい。自分がパリに持って帰ってきたことで、最低でも日仏間を1往復したわけだ。今では、主に黒白フィルムを入れて撮っている。