セリフォス島でのバカンス

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Nikon F, NIKKOR-H•C Auto 50mm f2, FUJICOLOR PROVIA 100F @Serifos

オススメの場所は、地元の人に聞く。これは、旅行する際には、世界どこでも通用する法則だ。

ギリシャの島々の中でも、比較的マイナーな島であるセリフォス島を旅行先に選んだのは、同僚のギリシャ人オススメだったから。彼は、ほぼ全ての島に回ったと豪語するが、その中でも静かでお気に入りの島なのだそうだ。結果としては、全く期待の裏切られない滞在になった。

交通手段

セリフォス島には、フェリーで行くしかない。まずは飛行場のあるミコノス島へ行き、そこからフェリーに乗った。このミコノス島のフェリー乗り場には困惑させられた。なんの案内もない。ただフェリーを運航する会社の看板があるだけ。係員もいなければ、次のフェリーの発着場を示す掲示板もない。コンクリート打ちっ放しの待合所らしきところに、ベンチがあって、そこで搭乗を待つ。が、フェリーがこない。出発時刻を過ぎても、なんのアナウンスもない。周りの人に聞いても、皆同じように不安がって待っているだけで、情報は何もない。結局、4時間近く遅れて無事(?)、フェリーが到着した。

このフェラーは、キクラデス諸島(サントリーニ島やミロス島を含むエーゲ海の島々)を周回している。そのため、直線的にはすぐ隣の島にも、ぐるっと大回りしていくことになるので、島によっては随分と時間がかかる。ミコノス島からはセリフォス島までの所要時間は、なんと6時間…。フェリーが遅れたせいもあり、島の港町であるLivadiに到着したのは深夜0時を回っていた。

滞在場所

宿泊場所としては、レンタルルームを借りた。ようは、素泊まりのホテルのようなものだ。セリフォス島には、こういった小さいレンタルルームがいくつかあって、ホテルよりもかなり格安に借りられる。実際に泊まったところのリンクを貼ろうと思ったら、なぜか見つからない…。booking.comで、serifosと検索すれば、他のルームも簡単に見つかる。ルームからの景色は、絶景とは言い難いが、地中海の美しさを存分に味わえる。

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iPhone 5C @Serifos

深夜到着にもかかわらず、ルームの方には暖かく迎えていただいた。次の日の朝に、改めてチェックイン。どうやら夫婦でやっているようだ。話を聞くとギリシャ人とイタリア人のカップルだそう。

朝食

オススメの朝食を聞くと、近所のイタリアンカフェを案内された(イタリア人だから?)。提携しているカフェのようで、ルームの名刺を持っていくと割引が受けられる。

ビーチ

このレンタルルームの素晴らしいところは、港にもビーチにも隣接しているところ。すぐ裏の道を下りて行くと、いかにもギリシャというビーチが開けている。海の家がポツポツと並んでいるだけで、のんびりとしたところだ。

このビーチにおいて特筆すべきは、その海水の質だ。これはギリシャの海全体に言えることなのかもしれないが、とにかくサラッとしている。海に入った後の、あのベタつく感覚が全くない。まるでプールに入ったかのような感覚で海に入れる。

昼食

ビーチの海の家なんて、と期待せずに入ったが、満足のいく食事だった。ここで食べたカラマリ(要はイカフライだ)と、ドルマダキア(ご飯をブドウの葉で包んだもの)は忘れられない。海風に吹かれながらのんびりと食事ができる

バス

山の中腹であり、かつ島の中心地であるHoraまでは、港からバスで行ける。このバスがなんとものんびりしてるというか、いい加減で、終点こそきちんとバス停があるものの、途中のバス停はあってないようなもの。急に止まったかと思えば、地元の人がまるでタクシーを止めるかのように、道端でバスを止めて乗り込んでくる。

夕食

夕食はMarathoriza Local Cuisineで。

www.tripadvisor.jp

バスで降りて、ちょっとした坂を登った奥にある。非常に小さいお店で、ラッキーにも入店できたが、我々が入った後には、すぐに一杯になった。ここでも気になったメニューであるタコの料理を頼む。これが独特の味で美味しい。かつて食べたことがなかった味だし、正式な料理名を忘れてしまったから、推測ではあるけども、タコをオリーブオイルとバスサミコに浸して、オーブンで焼いたのではないかと思う。パンがあっという間になくなる美味しさだ。

カフェ

食後に、バスの待ち時間を利用してカフェに入った(そもそも、まともなバス停がないせいと、強風のせいで、真夏にもかかわらず、外でバスを待つのは辛いくらいに寒い)。ここで頼んだものはグリークコーヒー(Greek coffee, ギシリャコーヒー)。これは強烈な苦味のあるコーヒーだった。比較的濃いめのコーヒーが好きで、エスプレッソも平気で飲めるのだが、これはその比ではない。「フィルターしていないエスプレッソ」とも呼ばれるらしい。飲み終わった後には、カップの底に分厚いコーヒー粉の層が溜まっているのわかる、といえば、その特異な苦味を想像してもらえるだろうか。

マイナーだけれども、とてもオススメの島、セリフォス島。次はじっくりと滞在したい。

お題「見たい!見せたい!パノラマ写真」

ネットにもガイドブックにも頼らないレストランの探し方

Soba

Nikon F, NIKKOR-H•C Auto 50mm f2, KODAK EKTAR 100 @Ebisu

ちょっと前までは、旅行にはガイドブックが必須だった。今は、その大部分がネットに取って代わられている。旅行前には、どちらにも大いに役立つけれども、いざ旅行をしている時は、ガイドブックを片手に歩いたり、スマホを覗きながら立ち止まったりするのは、どうも損をしている気分になる。見るべきものが目の前にあるのに、手元の小さな本や画面に囚われている気がするのだ。

それでも、せっかくの旅行なのだから、美味しいところで食事がしたい。そんな時には、次の三つの条件に当てはまるところを探すことにしている。

  1. その観光地のメインの通りから外れている。
  2. 店の前で、店員さんが立っていない。あるいは客引きをしていない。
  3. 混んでいる。

今まで何回もこの条件でレストランを探しているけども、今の所、全戦全勝だ。以前紹介したサントリーニ島のレストランも、この方法で見つけたものだ。

1. その観光地のメインの通りから外れている。

ネットを使わないという点からみると、ちょっと矛盾したことになるけれども、今の時代はネットを頼りにお店を探す人が多いから、例え大通りを外れた小道にあろうと、評判のお店であれば、それを探し当ててお客さんが来る。つまり、立地に恵まれなくとも、営業が成り立つ。逆に、メインの通りにあるお店は、放っておいても観光客がわんさか入るので、営業努力がなされなくなるところが多い。

2. 店の前で、店員さんが立っていない。あるいは客引きをしていない。

特に海外では多いけれども、お店の前に店員が立っていて、馴れ馴れしく話しかけて来るお店がある。場合によってはちょっと日本語が喋れたりして、一見、親切に見える。が、この類のお店はほぼ間違いなくハズレだ。本当に良いお店なら、客引きをしなくとも人が来るし、店内が忙しければ客引きをする余裕などないはず。

3. 混んでいる。

これは必須だ。ただ、時間帯によってはガラガラのこともあるので、余裕があれば時間を変えて、レストランの様子を見るといい。この法則は残酷なくらいはっきりしていて、上記の条件を満たすお店が二軒並んでいても、片方は満席、片方はガラガラなんてことがよくある。

「足で探す」とは、きっとこういうことだろう。

感動する食事、サントリーニ島のレストラン

Oia

Nikon F, NIKKOR-H•C Auto 50mm f2, FUJICOLOR PROVIA 100F @Oia

ミシュラン三つ星の基準は「それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理」だ。サントリーニ島のイアという街にあるレストラン、Oia Vineyartには、まさにそんな価値の料理がある(もちろん、星は付いていない。そもそもギリシアのミシュランガイドがない)。

かなり奥まった路地の裏にある上に、入口もポツンとあるので、注意していないと通り過ぎてしまう。実際、昼間に前を通って、場所を確認したにも関わらず、夜にもう一度来た時は見過ごしてしまった。

できれば予約をした方がいい。実際、予約なしで訪れた時は、一杯で入れなかった。日を改めて、店頭に行って、夜からの席を予約した。少なくとも、スタッフは全員英語が喋れるようだし、対応はとても丁寧だった。

夏ならやはりテラス席だろう。日が暮れても、十分に暖かい。

このお店に限らず、ギリシアのレストランに入ると、まずパンが出てくることが多い。日本で言うところの突き出し(お通し)だ。ここでは、それに加えて、オーリブオイルが小さなお皿になみなみと入れられて出てきた。

衝撃はこのオリーブオイルから始まる。まず鮮度。さっき絞ったのかと思うような香り。パンに浸して、一口食べれば、なんとも形容しがたい旨味が口の中に広がる。こんなに美味しいオリーブオイルは食べたことがなかった。いや、そもそもオリーブオイルがこんな風に味わえるものだとは考えもしなかった。

感動のあまりパンを食べ過ぎている間に、スタッフがメニューを聞きに来てくれる。地元のワインを飲みたいと言うと、丁寧に一つ一つ説明してくれた。どのスタッフにも、地元愛と、美味しいものを提供したい、という熱意を感じる。

もちろん、オススメの赤ワインをいただいた。残念ながら名前を失念してしまったが、口当たりよくスイスイと飲めるワインだった。

前菜は2品。メインも2品。最も衝撃的だったのが、メインの一つ、うなぎだ。ギリシャでうなぎ?と疑問に思うものの、レストランでは最初に目に止まったメニューを頼むと決めている。これが大当たりだった。人生で最も美味しいうなぎだったと断言できる。

あまりの美味しさに、写真も撮っていない。お皿に、大きめのうなぎの切り身が4切れほどのっていただろうか。なんだかわからないけども美味しいソースと、どういった調理をされたかはわからないけども絶品のうなぎが、目の前にサーブされたと思ったら、もうなくなっていた。気づいたら、オリーブオイルも、パンも何もない。ただ、圧倒的に美味しかったという体験だけが残る。

これで、二人で45ユーロくらい。結局、美味しいものは値段ではなく、鮮度なのだ。このレベルを、例えば東京のレストランで食べたら、値段は2倍以上だろう。

惜しむらくは、この衝撃的なオリーブオイルを買って帰れなかったこと。このお店は、レストランの中で食材等を販売しているのだが、このオリーブオイルは、レストランがまとめ買いしたものが巨大なタンクに入っているらしく、小売はしていないとのことだった。

安くて美味しい、でも、そこでしか味わえない。それが、感動する食事の条件だろう。

© 2016 SAKAI Hiroshi