フレーム、あるいは切り取るということ

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Leica IIIa, Summicron f = 5cm 1:2, 45color 400 @Home

不思議に思っていることがある。仕事場には、ちょうど正方形の窓があるのだけれども、それを通して外の風景を眺めると、とても綺麗だ。年代物の建物のすぐ後ろに、背の高い近代的なビルがあって、晴れているときは、その上に飛行機雲が見えたりもして、とても気持ちが良い。が、そんな素敵な風景も、その窓を開け、直接外を見ると、なんとなく興ざめしてしまうのだ。

同じことを、あるリゾートホテルでも感じた。そのホテルは、レセプションの横が巨大な窓になっていて、すぐ横を流れる川と、その対岸を見ることができて、まるで大きな絵画を見ているようだった。それが、外に出て同じ風景を見ると、それまでに感じていた趣がなくなってしまう。

窓は、こうして風景の一部を切り取って、窓枠というフレームに収める。写真は、目の前の風景を切り取って、それをフレームに収める。もしかして、写真を美しく感じるのは、フレームに収まっているから?

© 2016 SAKAI Hiroshi